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ようこそ!~うんちくコラム~


東海支部大野先生の長野式を織りまぜたうんちく集

門脈について
 
門脈は主に脾静脈、上腸間膜静脈、下腸間膜静脈などが合わさってできた静脈で、胃腸や膵臓、脾臓から肝臓へ血液を送ります。
 
門脈から送られる血液は肝臓内を流れる血液量の70~80%といわれております。
 
肝臓へ送られた血液は肝臓にて栄養素の分解、合成や有毒物質の解毒などさまざまな処理を受けた後、肝静脈を通って下大静脈へ送られます。
 
門脈は通常の動脈、静脈とは異なり、心臓のポンプ作用による影響は受けず、腹腔内圧や胃腸の蠕動運動により血流が推進されます。
 
よって「尺落」や「胃の気」が乏しい場合などは門脈内の血流は停滞しやすくなると考えられます。(左尺中の脈の極端な沈は痔静脈および門脈系の鬱血を意味する。・・・新治療法の探求 215ページ参照)
 
また門脈内の血圧は動脈のそれと比べかなり低くなっております。
慢性肝炎などで食後に横になって休むと良いといわれるのもこのためで、立っているときと横になっているときでは血流量が40%ほど変化するそうです。
 
そして肝臓内の血流が妨げられた状態になると門脈は全体にうっ血を起こし、門脈の内圧は亢進します。
 
この状態が特に著しい場合は(肝硬変、肝がん)、内圧によって血漿が腹腔内に滲み出して腹水が溜まってしまうこともあります。
 
また普段は機能していませんが門脈内の血液が肝臓を経ずに大静脈へ還流できる側副路(バイパス)が3つあります。
 
①食道下部から上大静脈へ
②直腸静脈叢から総腸骨静脈へ
③臍の周辺の皮静脈から上・下大静脈へ
 
肝門脈うっ血処置では②の側副路への還流を促すことによって門脈内圧を下げ、うっ血を解消します。
この処置で門脈のうっ血が解消されると、肝臓をはじめ、胃腸や膵臓、脾臓などへの負担が軽減されることになると思います。
処置の後、胃部不快感や腹部膨満感が楽になることは臨床上よくあることです。
 
ただし、同時に肝臓本体の血流、処理能力を高めたり調整する必要があると考えます。
側副路へ還流した血液は肝臓によって処理されずに大静脈へ送られて全身に流れます。
ということは有毒成分なども解毒処理されないまま全身へと送られてしまうのです。
 
たとえば極端な例ですが、肝性脳症という激しい物忘れや痴呆症のような症状があります。
腸内で食物のタンパク質が分解されるときに有毒なアンモニアが発生します。これが肝硬変などで門脈圧が亢進し、側副路から肝臓を経由せずに全身に血液が流れたとき、アンモニアは肝臓によって解毒処理されないまま全身に流されていきます。
 
このアンモニアを多く含む血液が大量に脳へ回ると肝性脳症を引き起こします。これは激しい物忘れや痴呆のような症状を起こし、ひどい場合は昏睡状態になります。
 
このようなことから肝門脈うっ血処置にてうっ血を解消することと同時に肝臓本体への処置、たとえば数脈であれば肝実(5穴)処置、遅脈であればT9の横V字刺鍼や肝兪などに処置して肝臓の血流や機能の改善を図り、門脈内でうっ血がおこらないようにすることが望ましいと思われます。
 
以前、長野先生の治療を見学させていただいた際に肝臓への処置を強化するということで肝門脈うっ血処置と肝実処置を併用されていました。
私もマネしてやっておりますが結果は良いようです。
 
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005東海支部 大野倫史 平成16年 9月


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